アーカイブズ-あいさつ
2014.03.24 平成25年度 名取市立増田中学校修了式 式辞
みなさん,お早うございます。
今日3月24日をもって,平成25年度が終わります。
今年1年間,皆さんにとってどんな1年だったでしょうか。
各種大会での部活動の大活躍
全校生の創意工夫で充実した取組を見せたマスポや増中祭,合唱コンクール
そして,感動の三年生を送る会や卒業式
その一つ一つが,この増田中学校でしか体験できない充実感と達成感を君たちに味わわせてくれました。
他の中学校でできないことをなぜ増中生ができるのか。
もうその答えはただひとつです。
地道な努力の積み重ねと互いを信じ合う心 - チームワークがすべてであるということです。
1,2年生の皆さん,今度は君たちの番です。
4月に入ってくる新入生に,増中生のすごさを,増田中学校のすごさを,君たちの姿をとおして示し,「増田中学校の一員で良かった」という気持ちにさせるのは,君たちの仕事です。
個人として,班の一員として,学級の一員として,
自分のことでなく,人のために考え,行動すること
このことがしっかりできるようになれば,
さらに素晴らしい増田中学校としてさらにランクアップできると思います。
しっかり頑張っていきましょう。君たちのやる気と本気を信じています。
さて,明日から4月7日まで,春休みになります。
この春休みは,この1年間を振り返りながら,上級生になる心構えをしっかり固めてほしいと思います。
春休みは,まず何よりも部活動に一生懸命励んでください。
そして,1日に30分でもいいのです。毎日欠かさず勉強に取り組んでみましょう。
家の仕事や手伝いを率先して行い,家族の笑顔を増やしましょう。
交通事故等,命と心の事故に会わぬよう,気をつけて過ごしましょう。
新学期に,人間的に一回り成長した姿で登校してくれることを期待して,式辞といたします。
2014.03.08 名取市立増田中学校第67回卒業式 式辞
ふりそそぐ春の陽射しが日一日と力強さを増し,希望に胸おどる今日の佳き日,
本校父母教師会 会長 様,
本校同窓会 会長 様,
名取市教育委員会 教育長 様,
市議会議員の皆様,増田・下増田の各小学校,名取北高校・宮城農業高校の校長先生方をはじめ,多数のご来賓の皆様,保護者の皆様においでいただき,
名取市立増田中学校 第67回卒業式を
このように盛大に挙行できますこと,心よりうれしく,感謝申し上げます。
卒業生の皆さん,卒業,おめでとう。
増田中学校に入学して3年,皆さんは明るい笑顔と素直な心をもち,まっすぐに,しかも,力強く成長しました。歴史と伝統ある増田中学校の最上級生として,勉学に,部活動に,行事に全力投球し,一人一人が光り輝く増田中学校の実現へ向け大きな一歩を踏み出してくれました。
3年前の3月11日,千年に一度と言われる大震災が東日本を襲い,本校学区の多くも津波で甚大な被害を受けました。
その日を心待ちにし,練習に練習を重ね準備した小学校卒業式。
震災直後の混乱の中で,なんとか会場を確保し開催するのが精一杯でした。
そして,中学校入学式。避難所となっていた体育館が使えないため,名取北高を会場として行いました。
人生の大きな節目を,混乱の中で迎えざるを得なかった君たち。
悲しい思いやつらい思いをたくさん胸に抱えながらも,
いたわり合うこと,思い遣ること,力を合わせること,信じ合うこと,たくさんのことを学びながら,君たちは懸命に,中学生としての第一歩を踏み出しました。
2年生になり,仙台自主研修や岩手立志登山,職場体験など,たくさんの体験を積みながら,中堅学年として,増中の躍進を支えました。
そして,3年生。
生徒会スローガン「情熱」「無限」「躍進」を胸に刻み,市中総体,陸上,水泳,駅伝,県・東北などの各大会,吹奏楽コンクールなどなど,文武両道にわたる君たちの活躍は目覚ましいものがありました。
増中初の試みとして1組団から5組団まで縦割りで競い合い,学年を越えた熱い応援を繰り広げたマスポ。
ステージ発表や展示発表にクラス一丸となって取り組み,創る喜びや感動をともに味わった増中祭。
名取市文化会館大ホールを君たちの素敵なハーモニーでいっぱいにした合唱コンクール。
増中三大行事は,それぞれ最高の質と内容をもって,大成功を収めました。
中でも,名取市駅伝二年連続男女アベック優勝,県駅伝2年連続男女アベック入賞は,夏の暑さにも冬の寒さにも負けずこつこつと積み上げてきた一人一人の努力が勝ち取った胸のすく快挙でした。
県駅伝大会が行われた日の夕方,「いいぞ!いいぞ!増中」のエールで駅伝選手団を出迎え,増中生みんなで喜びを共有したあの光景とあの感動。
一生懸命が感動を創る!-このことをあの日の増中生の姿に,しっかりと確認することができました。
1・2年生は,よき先輩としてリードしてくれた君たちにあこがれ,君たちを目標として,確実に育ちつつあります。
先週行われた「三年生を送る会」の大成功は,その証です。
「これまでありがとう。増中を頼んだよ」
「先輩に負けぬよう,しっかり頑張ります」
それぞれの学年が,互いに対する感謝の気持ちを込め,最高のパフォーマンスを披露しました。
「増中生で良かった」-会場にいた誰もがそう感じ,温かい感動に浸りました。
増田中学校の最高学年として,見事なリーダーシップを発揮し,増田中学校を新たな地平に導いてくれた諸君に,あらためて感謝のことばを贈りたいと思います。本当に,ありがとう。
あの東日本大震災から,3年の月日が経とうとしています。
電気も,水道も,食糧も,そして,情報さえも途絶した中で,無我夢中で過ごした日々。
身近な人や大切な人を失い,悲しみにくれたあの日。
避難所のたき火に身を寄せ合い,冷え切った体を温めながら,じっと炎を見つめた夜。
物流が滞る中,食料品やさまざまな物資を提供してくださったたくさんの人々。
炊き出しボランティアの方々の力で,温かい食事をいただけたときの有り難さ。
厳しい冷え込みの中,震災の翌朝も途切れることなく届けられた新聞。
いたるところに,力を合わせ,必死に頑張る大人の姿がありました。
互いの知恵や技術を持ち寄り,試練を乗り越えようとする真剣な姿がありました。
そしてもちろん,大人たちに混じって,懸命に頑張る子どもたちの姿も。
あの大震災を経て,あらためて気づかされたこと。
それは,人の温かさ,優しさ,そして,支え合うことの心地よさでした。
自分の利益のためでなく,人のために考え,行動すること。
このことが,人間としての本当の喜びであり,生きている証であるということ。
このことが,真の復興に向け,私たちが常に立ち返るべき原点であるということ。
自分の利益のためでなく,人のために考え,行動すること。
卒業生の皆さん,君たちが将来,どんな仕事に就こうと,どんな道を歩もうと,このことだけはしかと肝に銘じて,歩んでいってほしいと思います。
あの日々を決して忘れず,前を見据え,力強い一歩を踏み出していってほしい。
君たちの若い感性とあふれるエネルギーを存分に発揮し,自分の力で未来を切り拓いていってほしい。
そう強く,強く,願っています。
君たちならきっとできます。できるはずです。
保護者の皆様に申し上げます。お子様のご卒業おめでとうございます。
思春期の多感な嵐の時代をくぐりぬけ,義務教育修了という大きな節目を迎えたお子様の晴れ姿に,感慨もひとしおのことと思います。心よりお祝い申し上げます。
これからもお子様の前途を温かく見守り,導いてくださいますようお願い申し上げますとともに,長い間学校にお寄せいただきましたたくさんのご厚情に,心から感謝申し上げます。
ありがとうございました。
卒業生の皆さん,いよいよお別れです。
伝統ある増田中学校で学んだ誇りを胸に,それぞれの夢に向かって,力強い一歩を踏み出してください。
増田中学校を巣立ちゆく卒業生一人一人の,希望に満ちた旅立ちと今後の活躍を心から願い,式辞といたします。
2013.09.07 増中祭 開会あいさつ
皆さん,おはようございます。
平成25年9月7日,いよいよ,増田中学校最大の行事,増中祭の開幕です。
夏休み前から,実行委員会を中心に準備を進めてきた,その成果を発表する日がやってきました。
増中の駅伝選手団が2年連続男女アベック優勝,しかも女子ワンツー・フィニッシュという胸の空くような快挙を成し遂げたのはつい9日前のことです。
その感動さめやらぬ中,増中祭に向けた本格的な準備が始まりました。
それぞれのクラスや部活動で,どうせやるならいい発表をしよう,そんな思いを持ち,取り組んできた増中祭。
午後の活動時間,ときに賑やかに,ときに黙々と,協力しながら活動する増中生の姿。
一人一人のそんな姿がうれしく,今年も「増中生,いいぞ,頑張れ」とエールを送り続けてきました。
今年の増中祭のテーマは,「Great Memories ~最高の思い出を~ 」です。
今日9月7日,増中生537名が,心を込め,力を合わせて創り上げてきた,最高のドラマがさっそうと,そして,さわやかに,その姿を現すはずです。
生徒諸君! 今日が本番です。胸を張って,堂々と発表しましょう。
ご来賓の皆さん,そして,ご家族の皆さん,地域の皆さん,
本日はようこそ増中祭へおいでくださいました。
子どもたちは,今日の増中祭のために,心を一つにして,精一杯準備に取り組んでまいりました。
午前のステージ発表,お昼からのPTAバザー,展示発表,後夕祭など,とにかく盛りだくさんの内容です。
どうぞ,時間の許す限り,発表をご覧いただき,お励ましいただければ幸いに存じます。
生徒の皆さん,今日一日,これまでのすべてをこめて,若いエネルギーを完全燃焼させましょう。
増中祭を大成功させるための合い言葉,
さあみんなで,Let's make Great Memories!
2013.06.27 第63回東北地区中学校長会研究協議会宮城大会 あいさつ
稲田を吹きわたる風も,新緑のすがすがしい薫風から,大地の火照りを含んだ初夏の風に入れ替わり,季節はいつしか本格的な暑さの夏を迎えようとしています。
本日ここに東北各県から800名を越える会員をお迎えし,日本三景の地・松島で第63回東北地区中学校長会研究協議会宮城大会を開催できますことは,宮城県中学校長会の大きな喜びとするところであり,ご参加くださいました皆様に心から感謝申し上げます。
東北地方の太平洋側を中心に甚大な被害をもたらした東日本大震災から,2年3か月を越える歳月が経過しました。復旧・復興の道のりは予想以上に険しく,今なお30万人を超える人々が慣れ親しんだ故郷を離れ,困難な生活を余儀なくされています。教育現場においても,厳しい状況は変わりません。近隣の学校に間借りして教育の営みを続ける学校,校庭に仮設住宅が建ち並び体育の授業や部活動に支障をきたしている学校,在籍数の激減により十全な教育活動の展開に苦慮する学校など,数多くの学校が厳しい環境下で懸命な取組を続けています。
山形大会に続き秋田大会でも決議文に盛り込まれた「東北大震災からの復興,とりわけ教育活動の正常化」は,引き続き最重要の課題となっています。本大会が,各方面の温かい支援に支えられながら懸命な努力を続ける被災地の学校を後押しし,復興への歩みを加速させる意義深い大会になるよう努めなければならないと考えております。
一方,いじめや校内暴力などの問題行動に対する早期対応や不登校などへのきめ細かい対応,依然として跡を絶たない体罰の根絶など,学校現場が解決すべき課題も山積しています。これらの課題に適切に対応することによって,生徒一人一人の自己実現を支援し,学校に対する家庭や地域の信頼を確固たるものにしていかなければなりません。同時に,教育課程完全実施2年目の今年,それぞれの学校において特色ある教育課程を編成・実施し,確かな学力の定着と豊かな人間性の育成を図る取組にも全力を傾注しなければなりません。
宮城大会実行委員会は,本研究協議会が「東北はひとつ」の気概をあらためて共有し,被災地の復興と東北地区の中学校教育の一層の充実・発展を推し進める大きな一歩を記す意義ある大会となることを切に願い,宮城県と仙台市が一枚岩となって準備を進めてまいりました。ご参会の皆様には,「生徒指導」「進路指導」「健康・安全」の三つの研究主題に係る各県の研究発表に深く学びながら,活発にご議論いただくとともに,実践の一層の充実のために積極的に情報交換を行っていただきますよう,お願い申し上げます。
結びにあたり,これまで折りに触れ温かいご指導ご支援を賜りました文部科学省,宮城県,宮城県教育委員会,仙台市教育委員会,松島町,松島町教育委員会,全日本中学校長会ほか,多くの関係者の皆様に感謝申し上げ,あいさつといたします。
2013.05.28 仙台教育事務所管内初任者研修会 激励あいさつ
時の経つのは早いもので,5月も終盤にさしかかりました。
我々にとってもこれまで経験したことのないような慌ただしい新学期でしたが,初任者の皆さんにとっても,先を見通す余裕などのまったくない,常に後から追われるような日々だったのではないでしょうか。今日は所属校のことは忘れて,ゆっくり研修していただければ幸いに存じます。
さて,外に目を転ずれば,新緑・若葉の季節です。体育館と校舎の間にあるケヤキも,大空をつかむように大きく枝を広げています。里山ではタラの芽やこごみ,ワラビ,筍などの山菜や野菜が旬の季節を迎えています。
食材と同じように,人間にも,その時期にしか身に付かない,その時期にしかできない旬というものがあります。
児童生徒としっかり向き合う力,共感的に理解する力,児童生徒の興味関心を引き出し分かる授業を展開する力を養う,すなわち教師としての基礎・基本を鍛えるのが,初任者の皆さんの旬の仕事です。
不器用でいいんです。この世の中に,初めからうまくできる人なんていません。
大切なのは,いつも,どんなときでも精一杯,やってみることです。
今日もそのようなかけがえのない一日として,精一杯五感を働かせて,学んでください。
私も皆さんのために精一杯頑張りたいと思います。
ともに充実した一日にしましょう。 Let's try our best!
2013.04.09 名取市立増田中学校第67回入学式 式辞
温かい春の日射しに,校庭の桜もやわらかに咲き初め,
すべてのものが生き生きと躍動する今日の佳き日,
本校父母教師会 会長 様
名取市教育委員会 教育長 様
市議会議員の皆様,増田小学校,下増田小学校,名取北高等学校の校長先生方をはじめ,
多数のご来賓の皆様,保護者の皆様においでいただき,
名取市立増田中学校第67回入学式をこのように盛大に挙行できますこと,心より嬉しく,感謝申し上げます。
新入生の皆さん。入学,おめでとうございます。
増田中学校は,あなたがた一人一人を心より歓迎いたします。
いまこうして,皆さんの表情を見ますと,
「勉強を頑張るぞ」
「毎日部活の練習にしっかり取り組むぞ」
「明るく元気なあいさつができるよう頑張るぞ」
決意とやる気を胸に秘めた凛とした姿をしており,頼もしささえ覚えます。
その一方で,
・勉強についていけるだろうか。
・先輩は優しくしてくれるだろうか。
・他の学校から来た友だちと仲良くできるだろうか。
さまざまな不安も,胸をよぎっていることでしょう。
でも,大丈夫。心配はいりません。
人は誰でも,新しい世界の扉を開くとき,不安な気持ちになるものです。
人生,ピンチのときこそ,自分をひと回り大きく成長させるチャンスです。
チャレンジ精神を存分に発揮し,明るく元気に乗り越えていって欲しいと思います。
新入生の皆さん。
中学入学という人生の新たなステージに一歩を踏み出す皆さんに,お願いがあります。
今日の入学式をスタートに,「新しい自分づくり」にチャレンジして欲しいのです。
今ここにいる177名は,全国各地,合わせて12の小学校から集い合って,増田中学校の1年生という新しい集団をつくりあげていきます。
これまでのひっこみ思案で,自分の考えをなかなか発表できなかった自分。
失敗を恐れて,新しいことへのチャレンジを避けてきた自分。
辛いことがあると,簡単に諦めてしまう自分。
友だちとケンカしても,素直に仲直りできなかった自分。
などなど。
中学入学は,したくてもなかなかうまくいかなかった「これまでの自分」という古い殻を脱ぎ捨て,新しい自分づくりに挑戦するまたとないチャンスです。
ライバルは,昨日までの自分。
互いの努力を認め合い,励まし合いながら,「これまでの自分」とはひと味もふた味も違う「新しい自分づくり」に,みんなでチャレンジしていきましょう。
2,3年生の先輩たちは,今年も「新しい自分づくり」「最高の増中づくり」に取り組んでいます。
君たちも先輩に負けぬよう「新しい自分づくり」に積極果敢に挑戦するとともに,一人ひとりが光り輝く誇り高き増田中学校をつくる取組に,ともに取り組んでいきましょう。
君たちなら必ずできます。
You can do it.
今日がそのスタートです。
保護者の皆様に申し上げます。
お子様のご入学,おめでとうございます。
ご覧いただいておりますように,子どもたちは,ひと回り大きく成長し,頼もしく見えます。
しかし,これから,子どもたちは,人生で最も多感な,思春期へと入っていきます。
この3年間,子どもたちは,勉強のことや部活動のこと,友人関係や親子関係,進路選択など,さまざまなことで,悩み,壁にぶつかります。
多少のつまずきや挫折は,人として成長していく上で,不可欠ではありますが,子ども一人の力では解決できない,難しい問題に突き当たることも,時としてあると思います。
そんな時は,しっかりお子様に「寄り添って欲しい」のです。
寄り添うとは,我が子の本音や弱音に耳を傾け,受け止めてやることです。
時には,毅然とした対応が必要なこともあるでしょう。
「いけないことは,断じていけない」という勇気ある厳しさを示すことも,「寄り添う」ことです。
保護者の皆様,学校や地域の皆さんと心をひとつにして,子どもたち百七十七名の健やかな成長を支えていただきますよう,よろしくお願い申し上げます。
最後になりますが,増田中学校の教職員一同,本日ご臨席いただきました皆様方と力を合わせ,新入生一人一人が明るく楽しい中学校生活が送れるよう,日々充実した教育活動を展開していくことをお誓い申し上げ,式辞と致します。
2013.04.03 平成25年度名取市服務宣誓式 お祝いのことば
みなさん,こんにちは。
名取市校長会を代表して,一言お祝いのことばを申し述べさせていただきます。
この春の異動で名取市内に赴任された先生方,ようこそと名取市へおいでくださいました。
現在名取市内の小中学校ではおよそ6800名の児童生徒が学んでいます。
その中には,東日本大震災の津波で大きな被害を受けた閖上地区や下増田地区の子どもたちや福島県の沿岸部から 区域外就学をしている子どもたちもたくさんいます。
家族や友だちを亡くした子どもたち,仮設や借り上げ住宅から通学する子どもたち,家族がバラバラになりながらも名取市で学ぶ福島の子どもたち, いろいろな事情を抱えながらも,皆けなげに頑張っています。
私たち名取市に働く教職員は,子どもたち一人一人の学校生活を充実させることこそ,教育復興の本道であるとの信念を持ち, これまで取り組んでまいりました。
しかし一方で,保護者対応の難しさを,多くの学校が身にしみて感じているのも正直なところです。 保護者の皆さんにいろいろな社会的なひずみが集中し,それが対学校という形で現れているように思います。
『奇跡のリンゴ』の木村秋則さんをはじめ,多くの先人が語ってきたように,作物を育てる道はただ一つ。畑に足繁く通い, リンゴや野菜にできるだけ多く足音を聞かせること-こんな当たり前のことをしっかり行うことしかないのです。
人を育てるのも同じ。近道や特効薬はありません。早め早めに親御さんの声に耳を傾けること,その心情や苦悩を共感的に理解し,ともに歩むこと。
そんな地道な努力を積み重ねること,平凡な取組を積み重ねることをおいて他に道はありません。
そんな平凡の積み重ねが,私たちの力量を高め,非凡を生み出すのです。このことを肝に銘じたいと思います。
新しく名取市においでになった先生方には,それぞれの地域で培ってきた教育理念と経験を存分に活かしながら, それぞれの学校に新しい風を吹き込み,新年度にふさわしい新鮮な取組を後押ししていただきたいと思います。
名取市校長会も,名取市の教育の一層の充実のために,皆さんとともに心を一つにして取り組んでいくことを約束し,お祝いのことばといたします。
ともにベストを尽くしましょう。
2013.02.04 学校集会 冬を愉しむ俳句
皆さん,こんにちは。
暦の上で今日は立春。いよいよ春の足音が聞こえ始めています。
今日は冬を詠んだ俳句をいくつか織り交ぜながら,話をしたいと思います。
2週間ほど前の日曜日に大雪が降りました。翌日の月曜日が10時登校になったときです。
覚えていますか。
昇降口前の植木やテニスコートのローラーが,ふんわりとやさしい綿帽子をかぶっていました。
万物の かたちに雪の 降り積もる
実に分かりやすい,いい俳句ですね。
皆さんの中には雪かきの手伝いをした人も多いと思います。
小さな妹や弟がいる人は,一緒に雪だるまづくりをしてあげた人もいると思います。
雪が積もった広場で子どもたちが遊ぶ賑やかな声がひとしきり続いたあと,できあがったのが次の俳句です。
子等去りて 庭に座りし 雪だるま
きっとその雪だるまは,大きくて,太い眉毛をしていたのでしょう。
声あらば きっと低音 雪だるま
厳しい寒さはもう少し続きます。そのような寒さの中でも,命あるものは皆,やがてやってくる春に備えて着実に準備をしています。
寒の木を いま昇りゆく 水のあり
動物たちも植物たちも,今この瞬間も,来たるべき春に向けて命の営みを続けているのです。
増中生の皆さん。
2月に入り,太陽の力が日に日に強さを増してきました。
名取の地にも,いち早く「光の春」がやってきました。
続いて,「風の春」「音の春」がやってきます。
3年生の皆さんは,卒業までちょうど25日となりました。これから仙台高専の入試と公立高校の後期選抜の入試があります。
高校受験は団体戦。157名全員の合格を目指して,学年一丸となって取り組んでいきましょう。
1・2年生の皆さんは,今月末の三年生を送る会の成功に向けて,全力を尽くしてください。
増中生の皆さん。
希望の春,喜びの春はもうすぐです。
もう少し,今しばらく,歯を食いしばって,頑張っていきましょう。
2012.10.29 職場体験出発式 あいさつ
皆さん,こんにちは。
明日,明後日の2日間,職場体験が行われます。
皆さんはふるえる声で体験先の方と連絡をとったり,これまでも貴重な体験をしてきました。
いよいよ,明日からは本番です。
体験に出発するに当たって,
「あいさつ」と「気働き」の二つを肝に銘じて欲しいと思います。
「あいさつ」を互いの心を開くために行うものです。
恥ずかしいからと言って
「おはようございます」「いらっしゃいませ」
というあいさつを蚊の鳴くような声でされると,周りの方がかえって恥ずかしく感じてしまいます。
職場体験は,体験先から頼まれて,君たちが職場にいくのではありません。
君たちの方からお願いして,体験をさせてもらうのです。
「あいさつ」は中学生らしく,大きな声で,笑顔で,元気よく行ってください。
次に,気働きです。
「ありがとうございます」
「分かりました」
「終わりました。点検お願いします。」
「他に何かすることはありませんか」
君たちにできることはそう多くありません。
体験先の方に,積極的に働きかけてください。
足手まといにならないように,少しでも役立てるように,気を利かせてください。
お世話いただいている事業所の方に,「職場体験を引き受けて良かった」「中学生から元気をもらった」と言ってもらえるように,常に相手の立場に立って,行動してください。
皆さんがお世話になるコンビニやスーパーや工場は,毎日が真剣勝負です。
部活動にたとえると,練習試合ではなく,毎日が中総体の大会本番なんです。
今日は売り上げが少なくてもいいんだ,という日は一日とてないのです。
甘えた気持ちで行ってはいけません。
「あいさつ」と「気働き」の二つを肝に銘じて,一人一人誠実に,ひたむきに,一生懸命頑張ってください。
君たちなら必ずできると信じています。
2012.03.15 白石市南町町内会会報『会報みなみ』寄稿 - 地域とともに育つ白中生
「ありがとうね」「ごくろうさま」-大地を切り刻むような激しい揺れが東日本を襲ったあの日以来,何度これらのことばを交わしたことだろう。
あの日の夕方から拓心館が避難所となり,一時は4百人を越える人々が身を寄せ合って過ごしました。混乱のさ中,自助・共助の精神を発揮して,避難所運営の中心を担っていただいたのが南町自治会の皆さんでした。食糧の調達,炊き出し,環境整備など,世代を超えて協力し合い,使命感に燃えて行動する姿に,白中職員もしっかりせねばとの思いを強くしたものでした。
子どもたちも水汲みやトイレ掃除などの貴重な戦力として生かしていただきました。皆さんからかけていただいた「ありがとうね」「ごくろうさま」のことばに,子どもたちも充実感と達成感を味わい,成長することができました。
子どもは地域の中でこそ健やかに育つもの。これからもどうぞよろしくお願いします。
2012.03.10 白石中学校PTA会報 - ともに生き ともに歩む
2011年は,PTA会員の皆さんや地域の皆さんに支えられた1年でした。3月の東日本大震災以降,難しい問題が次々に発生しました。いずれも,学校の力だけでは解決が困難であり,皆さんの力添えをいただきながら一つ一つ乗り越えることができました。学校が保護者や地域の皆さんとともに在ることを,身にしみて感じさせられた1年間でした。
震災当日は,夕方から職員が手分けして生徒の安否確認にかけずり回りました。保護者の皆さんからも貴重な情報を寄せていただきながら,全員の無事が確認できたのは14日の昼過ぎでした。
次に課題となったのは,公立高校の合格発表や修了式,離任式などの予定変更をどうやって生徒に伝えるのかということでした。この窮地を救ってくれたのが,PTAの地区委員長さんでした。電気が復旧するのを待って作成した『拓心号外』を,委員長さんたちの力で迅速に生徒の手許に届けていただきました。あのときは本当に助かりました。
白中生も負けてはいません。校舎内の復旧や避難所の運営補助はもちろん,各家庭でも貴重な戦力として,力を発揮してくれました。中学生は,小さな子どもたちだけでなく,大人たちをも支えることができる頼もしい存在であることを,あらためて確認しました。
保護者の皆さんには,震災でいろいろと大変だったにもかかわらず,各種大会や飛翔祭,合唱コンクール,各学年のふれあい活動などに,今年も多数参加していただき,支えていただきました。
あらためて感謝申し上げます。ありがとうございました。
2012.02.13 朝会 - 自分の内なる力を信じよ,鍛えよ
皆さん,おはようございます。
立春を過ぎ,太陽の力は日に日に強くなってはいますが,依然として厳しい寒さが続いています。
今年の冬は,3年生の諸君が生まれた1998年以来,一番寒い冬になっています。
この15年間の1月の平均最低気温は氷点下2.5度です。
今年の1月の平均は,平年より1.6度も低い氷点下4.1度です。
そして,念のために2月1日から2月11日までの最低気温を調べたところ,平均で氷点下5.7度でした。
生まれて初めて経験する厳しい冬になっていることが,データの上でも明らかなわけです。
もうひと月で東日本大震災から1年になります。
あの地震で白中の施設で最も大きな被害を受けたものは何か,皆さんは覚えていますか。
自転車置き場に行く途中の灯油地下タンクです。やっと11月に新しいタンクが設置されました。以前のタンクの容量は6000リットルでしたが,新しいものは2000リットルしかないのです。容量の少なさが原因で,問題が起こりました。
先々週の金曜日の2時間目に灯油が切れて,学校全体のストーブが全て消えてしまいました。校舎全体がジワジワと冷えていったのを覚えていますか。
送るべき灯油がなくなった,灯油を各教室に送る管の中に空気が送られてしまったわけです。
専門の業者に電話しても,忙しくて来れないということで,Nさんを中心に,金曜の夜と土曜の午前中にいる先生方で修理をしました。
10時半頃には作業も終わり,やれやれとホッと一息ついていたのですが,そのうちに職員室のストーブから灯油がドクドクとあふれ出してきたのです。
Y先生,K先生,I先生,T先生,私,そしてNさんで,灯油を汲み取る作業から手を付けました。
修理用の工具を探す者。手動ポンプを探す者。灯油を受けるための底の浅い容器を探す者。トイレットペーパーをストーブの下につっこむ者。さまざまでした。
トイレットペーパーは,灯油を拭き取るためにつっこんだんではないんですね。毛管現象を利用して灯油を一旦吸い上げて,下の容器に移すために利用したんですね。
こうして,みんなで知恵を出し合って,身近にある物を使って,無事問題を解決したのですね。
この出来事をとおして,こういうことがとっても大事なんだということを再確認しました。
専門家でないから分からない,できない。時間がないから無理。道具がないからやってもムダ。
なんて,簡単にあきらめてはダメなんですね。
自分の中にある知恵や力を,信じて,それを活用することで,いろいろなことができるんです。
可能性の芽,宝物は,もう君たちの中に必ず備わっているのです。
自信をもって,それを生かし,伸ばしていって欲しいと思います。
話が長くなりました。3年生の皆さんは,進路実現のために本気で頑張ってください。1・2年生の皆さんは,今週金曜日の予餞会の成功に向けて,全力を尽くしてください。
希望の春は,もうすぐそこまで来ています。
2011.12.03 白石中学校第38回立志式 式辞
里山の木々もすっかり冬の装いに変わり,枝先の堅いつぼみの中では,色鮮やかな春が少しずつその準備を始めています。そんな凛とした季節の始まりに,
本校父母教師会 会長 様
本校同窓会会 会長 様
本校学校評議員の皆様をはじめ
多数のご来賓の皆様においでいただき,
白石市立白石中学校第38回立志式をこのように盛大に挙行できますこと,心より嬉しく,皆様に感謝申し上げます。
さて,本日,立志式を迎えた110名の皆さん,おめでとうございます。
この世に生を受けて14年,皆さんは家族の希望であり,成長とともにたくさんの喜びや笑顔を運んできてくれました。
そして,この白石中学校に入学して1年と8ヶ月,一人一人が精一杯頑張り,充実した日々を積み重ねてきました。
この世の中に,初めからできる人なんていない。最初から上手な人なんていない。
だから,いつも精一杯,頑張ろう。それが自分たちの仕事だから。
そんな気持ちを大切にして,勉強や部活動,行事に,それこそ夢中になって取り組んできました。
とりわけ,3年生が引退した今年の夏以降,白石中学校を背負って立たなければならない立場になってからは,自分で決断し自分の力で道を切り拓いていくことの厳しさと責任の重さをひしひしと感じながら,力一杯頑張ってきました。そして同時に,その手応えと充実感も味わってきました。
皆さんが編集した立志文集には,このような体験を通して,大切に育んできた将来の夢や志がいっぱい詰まっています。
中学2年の立志の日に思い定めた夢や志,決意を,しっかり心に刻み,それを実現させるために,自分を厳しく鍛えながら,新しい一歩を踏み出してください。
あの東日本大震災から,9ヶ月が経とうとしています。
電気も,水道も,食糧も,そして,情報さえも途絶した中で,復旧に向け無我夢中で過ごした日々。
本校拓心館に300人を超える人々が身を寄せ合って,約3週間を過ごしました。
発電機の力で拓心館に灯りが点ったときのホッとした気持ち。
冷蔵庫の食品や米,野菜などを持ち寄ってくれた地域の皆さん。
お母さん方の陣頭指揮で温かい食事をいただけたときの有り難さ。
厳しい冷え込みの中,震災の翌朝も途切れることなく届けられた新聞。
物流が滞る中,魚や野菜,食料品などを販売してくれた地元の商店の皆さん。
不眠不休で避難所の運営に当たってくれた町内会や市職員の方々。
電気や水道,道路や鉄道,ライフラインの復旧に昼夜兼行で当たってくれた皆さん。
いたるところに,力を合わせ,必死に頑張る大人の姿がありました。
互いの知恵や技術を持ち寄り,試練を乗り越えようとする真剣な姿がありました。
そしてもちろん,大人たちに混じって,一生懸命に頑張る子どもたちの姿も。
あの大震災を経て,あらためて気づかされたこと。
それは,人の温かさ,優しさ,そして,支え合うことの心地よさでした。
自分の利益のためでなく,人のために考え,行動すること-このことが人間としての本当の喜びであり,生きている証であるということ。
2年生の皆さん,将来,どんな仕事に就こうと,どんな道を歩もうと,このことだけはしかと肝に銘じて,歩んでいってください。
「働くこと」「生きること」の本来の意味をしっかりと心に留めながら,一人一人の目標を実現するために,力強い一歩を踏み出していって欲しいと思います。
保護者の皆様に申し上げます。
お子様の立志式,誠におめでとうございます。
子どもたちは,今日の立志式を機に,自分のことだけで精一杯だった「自分中心の時代」に終止符を打ち,周囲に気を配りながら,志を実現するために自ら行動を起こしていく「自立の時代」に足を踏み入れていきます。
とはいえ,まだまだ発展途上の子どもたちです。思いがけない失敗や挫折に直面することもあるかも知れません。
保護者の皆様には,これからも,お子様の一つ一つの挑戦に寄り添いながら,その成長を温かく見守り,励ましていただきますよう,よろしくお願い申し上げます。
最後になりましたが,本日立志式を迎えた2学年110名がそれぞれの夢の実現を目指して,着実に前進していけるよう,白石中学校の教職員一同,時に叱咤激励し,時に側面から支えながら,全力を尽くして指導していくことをお誓い申し上げ,
式辞と致します。
2011.10.06 宮城県中英研白石大会 あいさつ
例年になく短い夏休みが終わり,蒸すような夏の空気はいつの間にかヒンヤリした冷たい空気に入れ替わりました。季節は豊かな実りの秋を迎えつつあります。
東日本全域に甚大な被害をもたらしたあの大震災から早くも7か月が経とうとしています。沿岸部の多くの学校が津波に襲われ,生徒や教職員の尊い生命が奪われるとともに,施設設備にも甚大な被害をこうむりました。内陸部の学校でも,校舎の倒壊や大規模損壊などにより,他の施設での授業を余儀なくされるなど,大きな被害を受けました。
震災直後からの各学校における復旧にむけた先生方の献身的な取組により,新年度がスタートし,教室には生徒の元気な音読の声や笑顔が戻ってきました。しかしながら,県内教職員の目下の最優先課題は,日々の教育活動を確実に軌道に乗せることであり,生徒一人一人を伸長させるための教育活動の一層の充実を図ることにあります。
「そのために,県中英研として何ができるのか」-6月の第1回幹事会の場で真剣に議論を交わしました。全英連からいただいた20万円の見舞金については,早速沿岸部の被災校20校にラジカセを送ることで活用することに決定しました。また,先輩方が連綿と引き継いできた本県英語教育の研究実践の火をしっかりと継続するために,白石大会を開催することも確認いたしました。
本大会は,このような県内中学校の英語の先生方の熱い思いに支えられて,開催に至ることができました。このことをあらためて確認し,感謝したいと思います。
大会テーマは,昨年に引き続きいて本研究の今年度の研究テーマでもある「コミュニケーション能力の基礎を養う指導の工夫」と設定いたしました。
小学校の英語活動における学びを生かしながら,「聞くこと」「話すこと」「読むこと」「書くこと」の4技能をいかに伸ばしていくのか,英語をツールとして何を学ばせ,自身の考えや感性をいかに鍛えさせていくのか,そのためにどのような授業を構築していくのか,そのような視点でテーマ具現の道を探り,提案授業をデザインしてきました。
ご参会の皆様には,白石市内の若手教師3名による提案授業をつぶさにご覧いただくとともに,話題提供者の実践に深く学びながら,互いの授業改善と指導力向上のために,活発にご議論いただきたいと願っています。
最後になりましたが,県内各地でよりよい授業づくりのために日々心を砕いていただいているすべての英語の先生方,本大会の準備にご尽力いただきました大河原管内の先生方,そして,本大会を支えていただきました宮城県教育委員会および白石市教育委員会の皆様に心から熱く御礼申し上げ,ごあいさつといたします。
2011.04.14 白石中学校入学式式辞 - 初心忘るべからず
校庭の桜もやわらかに咲き初め,震災で大きな痛手を受けたここ白石の地にも,ようやく遅い春がやってきました。そんな喜びに胸はずむ今日の佳き日,
本校父母教師会副会長 様
白石市教育委員会教育長 様をはじめ,
多数のご来賓の皆様,そして保護者の皆様においでいただき,
白石中学校平成23年度入学式をこのように盛大に挙行できますこと,心より嬉しく,感謝申し上げます。
さて,97名の新入生の皆さん。
入学,おめでとうございます。
3月11日の大震災の日から,今日の日をどんなにか心待ちにしていたことでしょう。
電気も,水道もなく,家族が身を寄せ合って過ごした日々。
余震におびえながら,眠れぬ夜を過ごした日々。
仲の良い友だちと遊べず,少し寂しい気持ちで過ごした日々。
この一月余り,つらいことがたくさんあったことと思います。
そんなつらい日々を乗り越え,今日から皆さんは,晴れて白石中学校の生徒となります。
いまこうして,入学式に臨む一人一人の表情を見ると,
「授業に集中し,勉強を頑張るぞ」
「みんなと協力して,体育祭や文化祭に本気で取り組むぞ」
「部活動に思いっきり燃えるぞ」
決意とやる気がひしひしと伝わってきます。
いよいよ今日から,白石中学校での中学校生活がスタートします。
中学校での3年間は,自分が人間として生きていく上での土台をつくる大切な時代です。
これまでの殻を破り「新しい自分づくり」に,勇気を持って,一歩を踏み出す時期です。
勉強に,部活動に,行事に,思い切り,そして,楽しく,取り組んでください。
白石中学校は,君たちのチャレンジを全面的に応援します。
新入生の皆さん。
校門の左手に大きな石碑があるのを知っていますか。
石碑には「初心忘るべからず」ということばが刻まれています。
あの大震災にも,少しも揺らぐことなく,大地にどっしりと根を張って,白中生を見守っています。
新入生の皆さん。
皆さんには,三つの「初心」を大事にしてほしいと思います。
一つ目は,小学校卒業に際して,心に刻んだ,夢,そして,希望です。大震災に負けることなく,その夢と希望をしっかり育んでいってください。
二つ目の「初心」は,白石中学校に入学した今日,この日の喜び,そして,心に決めた目標です。その目標を実現するために,背筋をピンと伸ばし,一歩一歩着実に歩んでいきましょう。
そして,三つ目は,中学校に入学したときの謙虚で素直な気持ちです。分からないことがあったら,どんなことでも先生や先輩に聞き,一生懸命学びとっていきましょう。
そして,2年生や3年生になっても,先生や同級生だけでなく,後輩からも学び成長しようとする謙虚な気持ちを,いつまでも忘れずに,持ち続けてほしいと思います。
「初心忘るべからず」
このことばを一人一人胸にしっかり刻み,223名の先輩たちといっしょに,仙南の星にふさわしい誇り高き白石中学校づくりに,ともに取り組んでいきましょう。
保護者の皆様に申し上げます。
お子様のご入学,おめでとうございます。
子どもたちは,小学校卒業という人生の節目を,大震災という特別な体験のさ中に経験し,そして,乗り越えてきました。その体験を経て,一回り大きく成長した子どもたちの姿に,「よし,頑張れ」「このまままっすぐ育て」とエールを送りたい気持ちになります。
これから,子どもたちは,人生で最も多感な,思春期に突入していきます。
勉強のことや部活動のこと,友人関係や進路選択など,さまざまなことで,悩み,壁にぶつかることもあるでしょう。
多少のつまずきや挫折は,人間として成長していく上で,不可欠ではありますが,時として,子ども一人の力では解決できない,難しい問題に突き当たることもあるものです。
そんな時は,しっかりお子様に「寄り添って」ください。
寄り添うとは,我が子の本音や弱音に耳を傾け,受け止めてやることです。
時には,毅然とした対応が必要なこともあるでしょう。「いけないことは,断じていけない」という勇気ある厳しさを示すことも,「寄り添う」ことです。
保護者の皆様,学校や地域の皆さんと心を一つにして,子どもたち一人一人の成長をしっかり支えてくださいますよう,よろしくお願い申し上げます。
最後になりましたが,白石中学校の教職員一同,本日ご臨席いただきました皆様方と力を合わせ,新入生一人一人が明るく楽しい中学校生活が送れるよう,日々充実した教育活動を展開していくことをお誓い申し上げ,
式辞と致します。
2011.04.12 白石中学校第一学期始業式式辞 - 今ありて未来も扉を開く
みなさん,おはようございます。
3月11日午後2時46分に東日本全域を襲った大震災から,33日が過ぎました。
この震災で,これまでに1万3千人を超える人々が貴い命を奪われました。
犠牲となった皆さんのご冥福を祈り,黙祷を捧げたいと思います。
黙祷。
さて,敗れたとは言え,東北高校の全力プレーで湧いた今年の選抜高校野球。
4月3日に行われた閉会式で地元の高校生による大会歌「今ありて」の合唱が行われました。
その中に,次のような歌詞があります。
今ありて,未来も扉を開く / 今ありて,時代も連なり始める
今ここに,懸命に生きる若者の存在があってはじめて,未来の扉を開くことができます。
今ここに,勇気をもって一歩を踏み出す若者の存在があってはじめて,私たちは次の時代へとタスキをつないでいくことができます。
3月11日に起きた東日本大震災は,多くの人々の「今」をあまりにも突然に断ち切りました。
県内の多くの子どもたちも,夢半ばで「今」というときを絶たれてしまいました。
私がかつて苦楽をともにした先生も,教え子も,道半ばで帰らぬ人となってしまいました。
今ありて,未来も扉を開く / 今ありて,時代も連なり始める
ここに集う君たちには,「今」というときがあります。
その「今」を大切にするために,私たちは何をすべきなのでしょうか。
君たちにできることは,どんなことでしょうか。
答えは,ただ一つしかありません。
君たち一人一人が力を合わせて,「仙南の星」にふさわしい,最高の白石中学校をつくることです。
いま,ここにいる新2・3年生と,そして,あさって仲間に加わる新入生を加え,すべての白中生が力を合わせて,最高の白石中学校をつくることをおいて,他にありません。
そのための一人一人の努力が,ここ白石の,宮城の,そして東北の未来を開きます。
そのための一人一人の努力が,君たち一人一人の未来を開きます。
・1時間1時間の授業を大切にすること。
・互いに仲間を大切にし,協力し合って,誰もが伸び伸びと生活できる学級をつくること。
・専門委員会や行事にしっかり取り組み,生徒会活動を活性化させること。
・体育祭,飛翔祭,合唱コンクールの三大行事に本気で取り組み,感動や達成感を共有すること。
・日々の努力とチームワークを大切にし,本気で部活動に取り組むこと。
最高の白石中学校をつくるために,この五つのことに全力で取り組んでください。
新学期を迎える317名の白中生に,今日新たに3名の仲間が加わります。紹介します。
南相馬市から来た2年生のH君,3年生のWさん,そして,あさって入学するWさんの3人です。
H君,Wさん,白石中学校はあなたたちを心より歓迎します。早く白石中学校での生活に慣れ,明るく伸び伸びと頑張っていきましょう。
320名の生徒と28名の先生方,総勢348名で,このメンバーにしかできない最高の白中づくりに,しっかり取り組んでいきましょう。
今ありて,未来も扉を開く / 今ありて,時代も連なり始める
見せましょう 白石中学校の底力を。 共に踏み出そう 力強い一歩を。
以上で,式辞といたします。
2010.12.04 白石中学校第37回立志式 式辞
蔵王の山々も白銀に輝き,生命あるもの皆,来たるべき春に向け自らの中にエネルギーを充填する,寒さの冬がここ白石にもやってきました。そんな凛とした季節の始まりに,
本校父母教師会 会長 様
本校同窓会会 会長 様
本校学校評議員の皆様をはじめ
多数のご来賓の皆様においでいただき,
白石市立白石中学校第37回立志式をこのように盛大に挙行できますこと,心より嬉しく,皆様に感謝申し上げます。
さて,本日,立志式を迎えた112名の2年生の皆さん,おめでとうございます。
皆さんはこの白石中学校に入学して以来,毎日の部活動や係・委員会活動,そして,一つ一つの行事に真剣に取り組むなかで,自立した大人への準備を少しずつ積み重ねてきました。
とりわけこの1年間は,自分のことは自分で決める,自分の道は自分の力で切りひらく,その厳しさと責任の重さを,具体的な体験をとおして,学んできました。
自らを励まし,震える声で電話をかけ,職場体験の受入を依頼した6月の取組。
事前の面接を経て,職場の人たちに迷惑をかけまいと,一生懸命働いた7月の職場体験。
職場の人に叱られ,自分の甘さを見つめ直したあの日。
精一杯働く姿を,目を細めて見守り,励ましてくれた人々。
働くことの厳しさも充実感も,大人の優しさも温かさも,身にしみて感じてきました。
皆さんが編集した立志文集には,このような体験を通して,大切に育んできた将来の夢や志がいっぱい詰まっています。
中学2年の立志の日に思い定めた将来の夢や志,決意を,しっかり心に刻み,その実現のために,自分を厳しく鍛えながら,新しい一歩を踏み出して欲しいと思います。
皆さんは,サッカー日本代表のキャプテンとしてチームを引っ張ってきた中澤佑二選手を知っていますか。彼は今でこそ,守備の要として日本代表には欠かせない中心選手ですが,中学・高校時代は全くの無名選手でした。
小学校6年生でサッカーを始めた中澤選手は,同級生にいつも遅れをとり,チームメイトから「下手くそ」と言われ続けてきました。それでも「自分にはサッカーしかない。なんとしてもプロのサッカー選手になりたい」という気持ちは揺らぐことはありませんでした。
高校を卒業してもどこからも声のかからなかった中澤選手は,プロの道を拓くには「自分を変えるしかない」と意を決し,三つのチームをかけもちして,朝といわず夜といわず,365日厳しい練習に耐え抜きました。
誰よりも激しくボールを追い,誰よりも必死にグラウンドを走り回る-彼のプレイスタイルは,そのとき身に付けたものだと言われています。
中澤選手は言います。
過去は変えられない。だが,未来は変えられる。
そうです。過ぎ去った過去を,変えることは誰にもできません。しかし,自分の未来は変えることができます。自分の未来は,自分自身でつくっていくものです。
問題は,その決意と覚悟があるかどうかです。
2年生の皆さん,未来を変えるということは,自分自身の生き方を変えるということです。
明日からの一日一日を,自分の夢や志を実現するにふさわしい一日一日に,変えていく決意と覚悟をもって,力強い一歩を踏み出してください。
保護者の皆様に申し上げます。
お子様の立志式,誠におめでとうございます。
子どもたちは,今日の立志式を機に,自分のことだけで精一杯だった「自分中心の時代」に終止符を打ち,周囲のことに気を配りながら,自分の志を実現するために自ら進んで行動を起こしていく「自立の時代」に足を踏み入れていきます。
とはいえ,子どもたちはまだまだ発展途上です。思いがけない失敗や挫折に直面することもあるはずです。
保護者の皆様には,これからも,お子様の一つ一つの挑戦に寄り添いながら,その成長を温かく見守り,励ましていただきますよう,よろしくお願い申し上げます。
最後になりましたが,白石中学校の教職員一同,本日立志式を迎えた二学年112名がそれぞれの夢の実現を目指して,着実に前進していけるよう,時には叱咤激励し,時には側面から支援しながら,全力を尽くして指導していくことをお誓い申し上げ,
式辞と致します。
2010.11.05 文部科学省指定学力向上実践研究推進事業 公開研究会
研究紀要 巻頭言
記憶に残る猛暑となった2010年の夏が終わり,里山の木々もいつの間にか装いをあらたにし,季節は豊かな実りの秋を迎えています。
本校は平成20年4月に文部科学省より学力向上実践研究推進事業実践校として指定を受け,全職員の英知とエネルギーを結集しながら2年半にわたる実践探求を重ねてきました。本日ここに,その実践探求のあゆみと成果の一端を披露すべく最終年度の公開研究会を開催するに至りました。
すでにご承知のように新学習指導要領の改訂のキーコンセプトは,「言葉と体験の重視」ということにあります。思考・判断のすべてのプロセスを中心的に担うツールとしての言葉,そして表現・発信の不可欠の構成要素としての言葉,それら言葉の力をいかにはぐくんでいくのか。習得・探求・活用の土台となり,なおかつ,その過程を実現する場としての体験,その体験をいかに豊かなものにしていくか。このような問題意識を根底にもちながら,これからの時代を主体的に,そして力強く切り拓いていく「生きる力」を児童生徒に身に付けさせることを目指しています。
本校では,このような今次改訂の趣旨を踏まえ,授業改善のポイントを「言語活動の重視」と「活用型学習の工夫」の二つに焦点化し,その授業の在り方を「白石モデル」として提案してまいりました。各教科における言語活動をどうとらえるのか,活用の質をどうとらえ授業に位置付けていくのか,幾多の試行錯誤を重ねながら,「全員参加の授業づくり」と「生徒の姿で勝負」を肝に銘じ,実践探求を行ってきました。
本日ご参会の皆様には,本日の提案授業と生徒の学びの姿をつぶさにご覧いただき,互いの授業改善と指導力向上のために活発にご議論いただくとともに,情報交換等も積極的に行っていただきますよう,お願い申し上げます。
最後になりましたが,これまで折りに触れ温かいご指導を賜りました文部科学省初等中等局,宮城教育大学教職員大学院,宮城県教育庁義務教育課,大河原教育事務所の先生方,そして,本校の研究を一貫して支えていただきました白石市教育委員会の皆様に心から熱く御礼申し上げ,ごあいさつといたします。
全体会あいさつ
みなさん,こんにちは。
蔵王の頂も白銀に輝き,実りの秋も日に日に深まってまいりました。そんな研究会シーズンのただ中に,こんなにもたくさんの先生方にお集まりいただき,たいへんうれしく思っています。ありがとうございます。
本校は,平成20年4月に学力向上実践研究推進事業の指定をうけました。平成20年3月に告示された新学習指導要領の趣旨を踏まえ,本校の課題や生徒の実態とつきあわせながら,研究の切り口を「言語活動」と「活用型学習」の二つに絞り,生徒の学ぶ意欲の向上と確かな学力の育成を目指して,研究をスタートさせました。
それから2年半,研究主任を中心に全職員が議論を重ね,試行錯誤しながら,コツコツと実践を積んでまいりました。
平成21年度には11月の中間発表会を含め,全職員がかかわる授業研究会を4回持ちました。今年度も2回の全校授業研究会を経て,本日の公開研究会を迎えるに至りました。
午前に行った公開授業では8コマの授業を参観いただきました。そして,つい先ほど終わった分科会では,「言語活動」と「活用型学習」に焦点を当てながら,熱心に意見交換をしていただきました。ありがとうございました。
この後は,本校の研究概要の説明に続いて,「今,なぜ『活用する力』なのか」と題して,岩手大学の立花正男先生にご講演をいただくことになっております。新学習指導要領の全面実施を目前にしたこの時期に,「活用する力」について皆さんと共に研修を深める機会を得られるということを,たいへんうれしく思っております。
本日の公開研究会が,ご参会の皆様にとって新鮮な問題提起の機会となり,互いの実践を一層深める契機となれば,幸いに存じます。
最後になりましたが,これまで折りに触れ温かいご指導を賜りました宮城県教育庁義務教育課,そして,大河原教育事務所の先生方,さらに,本校の研究を一貫して支えていただきました白石市教育委員会の皆様に心から厚く御礼申し上げ,ごあいさつといたします。
2010.05.10 白石中学校 朝会 - 自分を信ずるに足る努力を積むこと
皆さん,おはようございます。
長かった春のゴールデンウィークもようやく終わりました。連休中,それぞれの部活動が6月の地区中総体優勝を目指して,精一杯の戦いを展開してきました。
5月7日には新入生が新たに部員として加わり,1年から3年までがそろって部活動がスタートしました。
1年生の皆さんは,おそらく毎日が一杯一杯だと思います。
これから練習が本格的に始まり,ひとつひとつのことがうまくいかず,もどかしい思いをするはずです。
1年生の皆さん,毎日が一杯一杯でいいのです。うまくできなくていいのです。
この世の中に,初めからできる人なんていません。
初めからうまい人なんていません。
だから,いつも精一杯頑張るのです。
精一杯の積み重ねによって,2年生や3年生の先輩のような力が付いていくのです。
白中生諸君,だから,精一杯が,君たちの仕事なのです。
今日は5月10日です。6月の5日・6日の地区中総体まで,1か月を切りました。
白中生325名には,全種目優勝の気概を持って,がんばって欲しいと思います。
残された1か月足らずの期間で,君たちがなすべきことは,ただ一つです。
自分を信じるに足る,努力をすることです。
自分たちを信じるに足る,努力をチームとして重ねることです。
基礎。基本をおろそかにせず,自分に対してどこまでも厳しく,しっかり努力を重ねることです。
「おれはすごいんだ」とか「他のチームは皆弱いんだ」とかいう思い上がった気持ちを,自信とはいいません。
「土壇場で,自分を信じるに足る努力を積むこと」
「ピンチのときこそ,自分たちを信じて頑張れるだけの,努力を積み重ねること」
その結果として,生まれる気持ちが「自信」ということです。
そして,その結果として生まれる,互いの努力を信じ合う気持ちが,チームワークなのです。
中学生の試合は,積み重ねた努力の量とチームワークの強さで勝敗が決します。
白中生の皆さん,この4週間,互いに励まし合って,自分を,そして,互いを信ずるに足る努力をしっかり積んでいきましょう。
5月14日の体育祭は,その仕事の第一歩です。
それぞれの学年・学級の団結を一層強くするために,
そして,白中生としての団結と一体感を一層揺るぎないものとするために,
青春のエネルギーを完全燃焼させてほしいと思います。
5月14日は必ず晴れます。
春の一日を,思い切り,楽しみましょう。
最後に,勉強も精一杯頑張っていきましょう。
以上で,話を終わります。
2010.03.06 蔵王町立円田中学校第63回卒業式
里山に春の訪れを告げるクロッカスの花もやさしく咲き初め,希望に胸おどる今日の佳き日,
蔵王町 町長 様
蔵王町 議会議員 様をはじめ,
多数のご来賓の皆様においでいただき,
蔵王町立円田中学校 第63回卒業式を
このように盛大に挙行できますこと,心よりうれしく,感謝申し上げます。
卒業生の皆さん,卒業,おめでとう。
円田中学校で過ごした3年間,皆さんは明るく元気に,そして,常に前向きに頑張ってくれました。
学年を経るにつれて,学年としての団結力が増し,素直な心でひたむきに取り組む姿に,胸を熱くする日々が多くなりました。
特にこの1年間は,円田中学校の最上級生として,勉強に,部活動に,行事に,一人一人が力を発揮し,最高の円田中学校をつくりあげてくれました。
一進一退の攻防が続き,優勝決定戦で勝敗が決したスポーツ大会
どの学年も円陣を組み,団結の絆を確かめ合うスポーツ大会は,円中の春の風物詩としてすっかり定着しました。
女子総合3位の栄冠を勝ち取った地区陸上大会。選手団と応援団の底抜けの笑顔は,最高でした。
白刈地区中総体では,出場した10種目中7種目で優勝,1種目準優勝と,まさに円田中学校の一人舞台でした。
その躍進の秘密は,一人一人の地道な努力の積み重ねとチームワークにあったと確信しています。
そして,10月,35回目を迎えた円中祭。
美しいハーモニーで聴衆を魅了した合唱コンクール。そこで得た深い感動と一体感。
無限の挑戦を積み重ね大成功した円中祭。全校生がみんなで味わった達成感と充実感。
「これまでで一番の,最高の円中祭を実現させたい」
テーマ『チャレンジ・インフィニティ-無限への挑戦』を掲げ,君たちは,重大な決意を胸に,準備に打ち込みました。
各係や学年,部活動,選択教科,専門委員会など,それぞれの団体が新しい企画に挑戦し,そのどれもが最高のレベルを実現し,君たちの無限への挑戦は見事に実を結びました。
自らの創意工夫と団結力で創り出した多くの感動,それらはすべて君たちがゼロから積み上げた努力の結晶です。
いつでもひたむきに,素直な気持ちで取り組み続けた君たちの姿。
その姿こそ,円田中学校が求めてきた姿そのものであり,これからもずっと大切にしていきたいと思います。
加えて忘れてはならないのは,部活動や委員会,係活動など,毎日の生活場面で,自分のやるべきことをきちんとやりとおす三年生の姿が,常にあったことです。
1・2年生は,君たちの姿にあこがれ,君たちを目標として,確実に育ちつつあります。
円田中学校の最高学年として,見事なリーダーシップを発揮し,新たな円田中学校を創り上げてくれた諸君に,あらためて「ありがとう」のことばを贈りたいと思います。
卒業生の皆さん。
4月から皆さんは,一人一人,自分の道を歩んでいきます。
これまで経験したことのない,厳しい時代を生きていかなければなりません。
しかし,たとえどんなに困難な局面に遭遇したとしても,少しも恐れることはありません。
皆さんは,この円田中学校で,人間として大切なたくさんの資質を身に付けてきました。
何事にも精一杯取り組む姿勢
仲間を大切にする優しさ
積極的に困難に立ち向かうチャレンジ精神
そして,まっすぐに伸びようとする素直な心
これらは君たちが,3年間ひたむきに努力を積み重ねた結果として,自分たちの手でつかみとった大切な資質です。
これらの宝物は,君たちをずっと支えてくれる頼もしい味方になるはずです。
円中を巣立つ諸君には,この円田中学校で大きく成長した自分自身と共に力を合わせた仲間たちに誇りをもち,正々堂々と新しい一歩を踏み出してほしいと思います。
保護者の皆様,お子様のご卒業おめでとうございます。
思春期の多感な嵐の時代をくぐりぬけ,義務教育修了という大きな節目を迎えたお子様の晴れ姿に,感慨もひとしおのことと思います。心よりお祝い申し上げます。
これからもお子様の前途を温かく見守り,導いてくださいますようお願い申し上げますとともに,長い間学校にお寄せいただきましたたくさんのご厚情に,心から感謝申し上げます。
ありがとうございました。
卒業生の皆さん,いよいよお別れです。
伝統ある円田中学校で学んだ誇りを胸に,それぞれの夢に向かって,力強い一歩を踏み出してください。
挫けそうになったとき,困難に直面したとき,この円田中学校で培ってきた力を信じ,共に過ごした仲間たちの力を借りながら,新たな道を力強く切り拓いていってください。
君たちのチャレンジ・インフィニティ,無限への挑戦はこれからも続きます。
一人一人の大きな飛躍を心待ちにし,これからも熱いエールを送り続けます。
今日,円田中学校を巣立っていく卒業生一人一人の希望に満ちた旅立ちと今後の活躍を,ご列席の皆様とともに心から願い,
式辞といたします。
2010.02.04 頑張れ!円中生!2月の言葉 - 虎は千里を行って,千里を還る
2009年(平成20年)の1月から,校長室前の廊下に「頑張れ!円中生!」コーナーを設けました。
その時々に生徒に伝えたいメッセージを,模造紙1枚に自己流の毛筆で書いたものです。
通算で2010年の3月まで15か月間の楽しいチャレンジでした。
2010.01.08 頑張れ!円中生!1月の言葉 - 丸暗記はダメだよ
丸暗記はやっぱりダメだよ
自分の中に根っこが張っていないから
根っこがなければ,養分を吸い上げることもできないし,
太く,深く,広く,根を張ることもできないから
丸暗記はダメだよ
学んだことが自分の中に根付くように
納得するまで,先生に聞くことが大切だよ。
2009.12.01 頑張れ!円中生!12月の言葉 - 一生に一度しかない
勉強の得意な者も,苦手な者も
部活で力を発揮できた者も,悔し涙を流した者も
皆,平等に,勉強に打ち込めるのは,中学3年のこの時期をおいて他にない。
諸君!推薦制度に足元をすくわれることなかれ!
中総体にも増して,円中祭にも増して,
この円中で培ってきた真の団結力が試されるとき。
ともに頑張ろう。
2009.09.07 頑張れ!円中生!9月の言葉 - 先人の知恵に学ぶ
学校の駐車場で白い花をつけている,この木の名前が分かりますか。
正解は,春の訪れを告げる山菜の王者,タラの芽のタラノキです。
昔の人は,初秋の里山に咲く白い花を目印に,タラの芽がある場所をチェックしていたのですね。
春の姿に,秋の姿。木も季節によって表情を変えます。
人間も同じです。きっと花が咲きます。
2009.07.01頑張れ!円中生!7月の言葉 - Love is doing small things with great love.
Love is doing small things with great love.
これはマザー・テレサの言葉です。
毎日のあいさつやそうじ,部活動など,一つ一つの小さなことにありったけの気持ちを注いで,ていねいに行うことが,周りの人や自分自身に対する愛なのです。
愛という字は,「心を受けとる」と書きます。
自分を中心に考えることを,愛とは言わないようです。
2009.03.01頑張れ!円中生!3月の言葉 - ありがとう
1・2年生の諸君,
そして,3年生諸君,
すばらしい送る会をありがとう。
この1年間の一人一人の一所懸命の積み重ねに
「ありがとう」の一言を贈りたい。
2008.11.13 朝会 - 中学生の仕事は自分の得意技を探すこと
おはようございます。
「あなたの得意技はなんですか」
突然こう聞かれたら,皆さんはどう答えますか。
私の得意技は何かとあらためて聞かれたら,少し困りますが,あえて言えば稲刈りとか野菜づくり,日曜大工などの「ものづくり」というところでしょうか。
先月大成功を収めた円中祭も,生徒の皆さんの創意工夫がぎっしり詰まった「ものづくり」の結晶と言えます。その円中祭の有志発表で,私が初めて耳にした歌があります。
アラジンの「陽は,また昇る」という曲です。その中にこういう歌詞がありました。
頑張れ日本 凄いぞ日本 頭のいい国 日本
シャープペンシル 新幹線 胃カメラ この国考えた
(管とカメラを見せながら)
そうです,胃ガンなどの深刻な病気を早く見つけるために,胃の中にこの大きなカメラを入れるということを,世界に先駆けて実現させたのが日本人です。
それまでもそのような試みがあったことはあったのですが,胃に達する前に食道に穴を開けたり,胃の壁に穴を開けたり,命に関わる失敗が続いていました。
人間の喉の太さは平均14mmです。人間が飲み込みやすくするために,管の太さを12mm以内にする必要がありました。
その中に,このカメラを組み込み,遠隔操作ができるようにすること。しかも,短時間で胃まで到達し,鮮明な写真を撮ることができること。など,様々な条件をクリアすることが必要でした。
1年1ヶ月間,何度も何度も失敗を重ねながら,自分たちが実験台となって試作した胃カメラを飲み込み,胃の中を撮影するのに成功しました。
身の回りにあるあり合わせのものを利用して,創意・工夫する力や目標に向かって努力する粘り強さなど,日本人に昔から「ものづくり」の伝統があり,不可能を可能にする得意技があるのです。そんな「ものづくり」の伝統を武器にして,元気に頑張っている町工場が,今もたくさんあります。
さて,中学生の仕事は何でしょうか。それは,一生役に立つ自分の得意技を見つけるということです。勉強や部活動,委員会活動など,いろいろなことにチャレンジしながら,得意技を見つけるのが,中学時代の大事な仕事です。
今日から三者面談が始まります。3年生にとっては卒業後の進路を選択する大切な場となります。
3年生の諸君はいま必死の思いで受験勉強に取り組んでいると思います。
点数を上げることももちろん大切ですが,それ以上に大切なのが,小中学校の9年間で学んだ内容を自分の中でまとめていくという作業です。
受験勉強をとおして,ノートづくりや情報の整理の仕方,情報の活用の仕方,時間の使い方など,自分に一番合ったやり方を見つけ出すことができます。
受験勉強をとおして,テレビやゲームなどの誘惑に負けず自分をコントロールする力を身に付けることができます。
自分の得意技や自分に合った仕事のスタイルは,中学卒業までの必死の取組の中で見つけられるものです。受験勉強は,一生役に立つ様々な力を身に付ける絶好のチャンスなのです。
世の中は平等にできています。努力した人は,その努力に見合うだけの結果が返ってくるものです。反対に,いい加減に取り組んだ人には,それなりの結果しか返ってこないのです。
そのことをしっかり頭に入れて,1・2年生は部活動や生徒会活動,勉強に,3年生は受験勉強に本気で取り組んでほしいと思います。自分の得意技を見つけるために。
2008.06.19 円中PTA会報 - 子どもが伸びる瞬間
ロシアの作家ゴーリキーの言葉に「本当の大学は,現実のこの社会だ」というのがあるそうです。
大学や書物から学ぶことよりも,現実の学校生活や部活動の中で学ぶことこそ,本物であり生きて働く力となって身に付くものだ,という意味だと思います。
□ 真剣勝負が人を育てる
6月14日。卓球女子団体決勝戦。円中対東中の試合は2対2となり,優勝の行方は最後の試合の勝敗にゆだねられました。
自らを励ますように声を発しながら戦う円中選手。ジリジリするようなラリーを勝ち抜き,優勝をもぎとったのはわが円中の選手でした。プレッシャーに押しつぶされそうになりながらも,平常心で戦い続けるその精神力に頼もしさを感じていました。
優勝候補の宮中を執念で退けた野球。堅実な攻守で圧勝したソフトボール。自力で優った剣道。どの競技も,最後まであきらめず全力を出し切る円中生の姿がありました。真剣勝負の中で,自分は一人ではないこと,励まし支えてくれる仲間がいること,自分の力が信ずるに足るものであることをたくさんの円中生が,学び,一回り大きく,力強く成長しました。
□ 常に本物を目指して
学年や学級の団結の絆を強めたスポーツ大会。男女ともに大きく躍進した地区陸上競技大会。団体5種目で県大会への出場権を獲得した地区中総体。
二学期もまた,御家庭の力添えをいただきながら,生徒と職員が力を合わせ,授業づくりに,部活動に,円中祭をはじめとする各種行事に,全力で当たっていきたいと思います。
保護者の皆様の一層の御支援と御協力を,よろしくお願いいたします。
2008.02.12 円中PTA会報 - 大きな耳 小さな口 優しい目
この1年間,保護者の皆様には,温かいご理解とご協力をいただき,たいへんありがとうございました。
また,見事なリーダーシップで円中を引っ張ってくれた卒業生の諸君にも,あらためて感謝したいと思います。ありがとう,そして,卒業おめでとう。
■ 愛の反対は
ところで,「愛することの反対は何ですか」と聞かれたら,皆さんはどう答えますか。
貧しい人々のために生涯を捧げたマザー・テレサは,「愛の反対は憎しみではなく,無関心であることです。」と,述べています。
私たち大人は,仕事に追われ,あわただしい毎日を過ごしています。子どものことに無関心というわけではありませんが,気が付くと,わが子と一度も顔を合わせることなく,一日が終わってしまうこともあります。
果たして子どもたちはどんな思いで生活しているのだろうか,ふと考えることがあります。
学校でも家庭でも,互いに子どもたちに心をかけていきたいものです。
今年の1月から2月にかけて,伝説の打撃コーチ高畠導宏さんの生涯をドラマ化した『フルスイング』が放映されました。ご覧になった方も多いと思います。
高畠さんは59歳で高校の教師となり,翌年病気で亡くなるまで,子どもたちに生きる勇気を与え続けました。
高畠さんが教師として肝に銘じていたのは,コーチの体験から学びとった「大きな耳,小さな口,優しい目」という言葉です。
■ 大きな耳
仕事を終え,家でほっと一息ついたときに,たとえ1分でも2分でもいいのです,わが子に声に耳を傾けてみてください。つぶやきでもぼやきでも,何でもいいのです。心のキャッチボールはここから始まると考えています。
■ 小さな口
これについては,耳が痛い方も多いかも知れません。顔さえ見れば「早くしなさい」「勉強しなさい」ということばがつい口をついて出てしまいがちです。そこをぐっとこらえ,本当に伝えたいことを語りかける努力をしてみませんか。
■ 優しい目
これは言うまでもありません。優しい笑顔が一番です。ニコッと笑ってあいさつされれば,思わず笑顔になるのが人間です。
大きな耳,小さな口,優しい目
学校でも家庭でも,みんなで心掛けてみませんか。
2007.12.12 指導主事学校訪問 全体会あいさつ(円田中学校)
本日は,明日明後日の二日間行われる県全体の指導主事会議の前日という御多用の中,おいでいただき,誠にありがとうございます。また,早朝来,本校の教育実践の一端を御覧頂き,一つ一つの取組につきまして温かい御指導を賜り,厚く感謝申し上げます。
「教育は,流れる水に文字を書くごとし」とは,著名な教育家 森信三先生の言葉ですが,本校の先生方は4月以来,岩に文字を刻みつけるがごとき決意で,一所懸命日々の実践に当たってきました。
その成果は,はかなく消えゆくうたかたのごときものではなく,生徒一人一人の頼もしい姿の中に,確かな手応えとともに,実現されております。
本日御覧頂きましたように,生徒も教員も,まだまだ荒削りで不十分ではありますが,よりよいもの,本物を追い求める意欲においては,誰にも負けないと思っております。
今年度も残り3か月余りとなりましたが,生徒一人一人の学力向上と自己実現をしっかりと支援すべく,真剣勝負で,日々取り組んでまいりたいと考えております。
大河原教育事務所の先生方におかれましては,健康にご留意いただき,今後も変わらぬ御指導を賜りますようお願い申し上げ,御礼の挨拶といたします。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
2007.11.06 宮城県教職員永年勤続表彰式 代表挨拶
山鮮やかに燃え,秋深まりゆく今日の佳き日,
宮城県出納長 〇〇様,
宮城県議会議員 〇〇様,
はじめ,多くの御来賓の皆様のご臨席を賜り,かくも盛大に表彰式を挙行していただき,心より厚く,御礼申し上げます。
皆様からいただきました温かいお励ましの一言一言に,私たち一人一人に課せらせた職責の重さと期待の大きさを改めて痛感し,身の引き締まる思いがしております。
また,諸先輩方に支えられ,無我夢中で勤めてきた25年間を振り返りますと,たいへん感慨深いものがあります。
私たちが教育の世界に仲間入りさせていただいた昭和50年代後半は,昭和の古き良き時代の名残りがまだ色濃く残っていました。授業や部活動を終えて職員室に戻ると,ストーブを囲んで教育談議に花が咲き,諸先輩方から元気や勇気をたくさんいただくことができました。直面した数々の困難を一つ一つ乗り越えてこられたのも,諸先輩方の温かい支えがあってこそと,あらためて感謝の気持ちでいっぱいです。
時代は20世紀から21世紀へと大きく動き,教育を取り巻く環境も一段と厳しさを増してきています。このような中,「次代を拓く児童生徒の育成のために何をなすべきか」をすべての判断の基準に据え,教育の不易をしっかりと実現するとともに,時代の息吹を先取りした教育改革の実をしっかり実現していくことが,ますます重要になってきています。
本日表彰いただきました518名は,教育に携わる者の責務として,教育に寄せる県民の期待の大きさと,各自に課せられた職責の重さを認識し,それぞれの職場で誠心誠意努力を重ねてまいることをお誓い申し上げるとともに,諸先輩方の変わらぬ御指導・御鞭撻をあらためてお願い申し上げ,御礼の挨拶といたします。
平成19年11月6日
2007.04.09 円田中学校一学期始業式式辞 - 今日一日を精一杯生きること
2007年4月9日,円田中学校の1年間の中で最も新しい朝を迎えました。
何もかもが,新しく始まる,新鮮で心洗われるような朝です。
学年が一つあがる。教科書も変わる。教室も変わる。友達も,先生も変わる。
担任が変わらないときもあるでしょう。
かつてのクラスメイトが一緒する場合もあるでしょう。
でも,その先生も,友だちも今日は違っています。
少なくとも,心の中だけは,密かに変わっています。
新しい決意と希望で燃えています。きっと。
このように何もかもが新しく始まる朝,この凛としたすがしい朝の瞬間と出会いを大切にしたいと思います。
当たり前のことだけど,今日,元気に登校し,この場にいられることに感謝したいと思います。
そして,「今日一日を精一杯生きること」
さらに,「今年一年を精一杯生きること」
その思いを,一人一人,心に刻んで欲しいと思います。
生徒代表の3人の皆さんの発表からも,
新学期,そして,この1年,真っ新な気持ちで,精一杯頑張ろうという気持ちが伝わってきました。
ここにいる一人一人が,生徒も,先生方も,一つになって,
最高の,今までで一番カッコいい円田中学校をつくっていきたいと思います。
しっかり頑張りましょう。
2007.01.13 『宮城の英語教育』巻頭言 - 英語は総合学習,子どもたちに課題発見のチャンスを
「才能なんていうのは,その対象に関わる気持ちの前では,小さな小さなことです。長い時間の中ではさらにそうです。自信をもって進んでください。」
これは,フラワーデザインに興味を持ちながらも,自分の才能に自信が持てずにいた直子さんに宛てた星野道夫さんの手紙の一節です。自分が生涯を通じて取り組みたい課題が見つけられれば,強い気持ちをもって道を切り拓いていけるものだ,星野さんが自分の生き方に重ねて送ったメッセージです。
生徒は,各教科や総合的な学習の時間等の中での小さな課題解決の積み重ねを通して,生きる力を身に付けていきます。そのような学習を通して,生涯を通じ追求したい課題を見出すことに,中学校までの学習の最終目標があるのではないかと思います。
英語の授業では,「聞くこと」「話すこと」を中心に4技能を身に付けることによって実践的コミュニケーション能力の基礎を養いますが,「環境問題」や「人権問題」「食糧問題」などの今日的な問題や「異文化理解」など,教科横断的で総合的な幅広いテーマについて学習します。
私たち英語教師は,教材教具の工夫やペア学習やグループ学習などの学習形態の工夫,TTや少人数指導などの指導形態の工夫,タスク学習やコミュニケーション活動の導入などの指導方法の工夫など,これまでもそのときどきの時代のニーズに合わせ,実に多くの工夫・改善に取り組んできました。
加えて,英字新聞や書籍,インターネットなどのさまざまなリソースを活用することによって,生徒の興味・関心を喚起し,学びへのモティベーションを高めていくことが一層重要になっていくものと思います。
地球というグローバル・ビレッジの未来を担う生徒に,学ぶことの楽しさや面白さを味わわせること,生涯を通じて追求したい課題を見つける契機を与えること,星野さんの言う「深く対象に関わり,究めようとする強い気持ち」を育てる上で,英語の授業の持つ可能性は極めて大きいと言えます。
英語は総合学習です。子どもたちに課題発見のチャンスを与えていきたいものです。
平成18年11月には県教育委員会主催の小学校英語活動研修会が開かれました。また,高校1年生全員を対象とした宮城県版英語検定もスタートしました。
英語教育は,いま大きな変革のただ中にあります。宮城県英語教育研究会が主催する各種の研究会やコンクール等の様々な事業に,今後も積極的にご参加いただき,互いの実践の成果や課題を共有し,宮城の英語教育の一層の充実に努めていただきますよう,お願い申し上げます。
この「みやぎの英語教育」には,各種コンクールにおける生徒の活躍の様子や各地区の取組の記録など,成果がぎっしり詰まっています。平成18年度の宮城県における英語教育の動向を把握し,ご自身の実践の幅を広げるためにも,しっかりと目を通していただきたいと思います。
最後になりましたが,貴研究会のこの1年間の充実した取組と,それを支えていただきました堀江謙一部会長様をはじめとする関係各位の皆様のご労苦に対し敬意と感謝を表しますとともに,貴研究会のますますのご発展を祈念し,発刊に寄せての言葉といたします。
2006.02.02 『宮城の英語教育』巻頭言 - 日々の授業を問い直す
昨春なにげなく立ち寄った書店で,『英語教育-ゆかいな仲間たちからの贈りもの』という本が目に止まりました。今どきの書籍としてはいささか時代がかったネーミングになんとなく惹かれたのです。菅正隆氏(現文部科学省調査官),中嶋洋一氏,田尻悟郎氏といった,英語教育のプロフェッショナルが,ユーモアたっぷりに本音トークを繰り広げています。
その中で,英語教員の使命を,
【使命その1】 英語を好きにさせること。
【使命その2】 将来学びたいと思ったときに学べる基礎・基本をつくっておくこと。
【使命その3】 授業の中で生徒の心を育てること。
と,簡潔に整理しています。
また,評価の在り方について「合唱コンクール」の取組を例に挙げて,「全然やる気がない子たちを上手に励まして,最終的には『やっぱり歌って良かったな』『先生,感動した』と言わせることこそ,いい合唱指導であり,正しい評価の仕方だと思う」と述べています。
英語教育に携わる者として,指導と評価の在り方について,生徒の目線でもう一度考え直してみたいと思います。日々の授業の中で,生徒に「学習の内容が分かった」「友だちの考えや良さが分かった」「自分自身の良さや可能性が分かった」という三つの「分かった」という感覚を味わわせることができているのかどうか,もう一度見直してみたいと思います。
平成18年1月21日に実施されたセンター試験に,初めてリスニングテストが導入されました。また,小学校における英語の必修化に向けた動きが,報道されては消えて行くということが,昨秋以来続いています。英語教育を巡って,現在さまざまな議論が交わされています。英語教育を巡る動向を,しっかり見守っていく必要があります。
平成18年1月にまとめた調査では,総合的な学習の時間などに英語活動に取り組んでいる県内の小学校が,93.5%に昇ることが明らかになりました。指導時数に差はあるものの,ほとんどの子どもが小学校段階ですでに英語に触れているという事実を,中高の教師は正面から受け止める必要があります。中学校の教師が小学校で授業を行ったり,校内のスキットコンクールに小学生を招待したり,小中あるいは中高の交流・連携が具体的に始まっています。このような動きは,今後ますます大きくなっていくものと思います。多忙な毎日とは思いますが,先生方には小・中・高の交流・連携の動きに前向きに取り組んでいただければと思います。
英語教育は,いま大きな変革のただ中にあります。宮城県英語教育研究会が主催する各種の研究会やコンクール等の様々な事業に,今後も積極的にご参加いただき,互いの実践の成果や課題を共有し,交流を大いに深めていただきますよう,お願い申し上げます。
この「みやぎの英語教育」には,各種コンクールでの生徒の活躍の様子や各地区の取組の成果がぎっしり詰まっています。平成17年度の宮城県における英語教育の動向を把握し,ご自身の実践の幅を広げるためにも,しっかりと目を通していただきたいと思います。
最後になりましたが,貴研究会のこの1年間の充実した取組と,それを支えていただきました入間川巧部会長さんをはじめとする関係各位の皆様のご労苦に対し敬意と感謝を表しますとともに,貴研究会のますますのご発展を祈念し,発刊に寄せての言葉といたします。
1997.10.25 増田中学校創立50周年記念誌原稿-いつまでも心に残るあの感動,あの感激
創立50周年おめでとうございます。増田中学校の輝かしい歴史の50分の7を,共に歩むことができたことをたいへん名誉に思います。その中で,たくさんの素晴らしい子どもたちや保護者,教職員の皆さんとめぐり合い,多くのことを学ぶ機会を持てたことを幸せに思います。
増田中学校時代の思い出といえばやはりなんといっても増中祭です。英語の授業や部活動にももちろん全力投球しましたが,増中祭となるとそれこそ寝食を忘れて取り組んだものです。燃えさかるファイヤーを囲んで声の限りに歌う校歌――あの感動と感激,そして連帯感。後夜祭のあの瞬間の充実感をことしも味わいたいという一心で,1学期早々から準備を開始し,真剣に取り組んだものでした。≪今,新紀元,そしてSTART!≫≪IMAGE CHANGE―創ろう!青春の607ピース≫≪折り鶴大壁画≫≪貼り絵大壁画≫≪ステンドグラス≫等々。印象に残っていることを挙げたらきりがありません。増中生が一つに団結し,輝く瞬間,それが増中祭です。
夏の甲子園が来るたびに必ず思い出すのが,ウォーキング・マラソンです。増田中学校では2回実施させていただきましたが,それも良い思い出です。福島県の新地駅を起点に増田中学校までの42.195キロの道のりを,友だち同士励まし合いながら歩き通す行事です。2回目のウォーキング・マラソンを行った平成元年8月21日には,育英対帝京の決勝戦があり,試合の流れに一喜一憂しながら,潮風に吹かれて歩いたのを覚えています。一緒に歩かれた斎藤秀雄校長先生の健脚ぶりも忘れることができません。大友学年委員長さんをはじめ保護者の皆さんの温かい支えがあったからことできた行事です。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
平成3年7月,1年生の花山合宿も楽しい思い出です。栗駒山ふところに抱かれて,自然とともに伸び伸びと遊んだ合宿。「友情のきずなをもっと深めるとともに,大自然の中で助け合っていこう!」という目標を掲げ,みんなの力を結集して成功させることができました。引率した私たちも共に学んだ,みずみずしい三日間でした。
何事にも精一杯取り組む素晴らしい子どもたちと過ごせた楽しい7年間。その時間を共有させていただいたすべての皆さんに,心から感謝申し上げます。そして,増田中学校の今後のますますのご発展を心より祈念いたします。創立50周年,おめでとうございます。
1997.04.11 宮城県教育研修センター平成9年度長期研修員 誓いの言葉
青葉山の桜の蕾も日一日とふくらみを増し,希望と躍動の春の喜びにあふれる今日,私たち80名は栄えある宮城県教育研修センターの長期研修員として,入所させていただくことになりました。今,私たちは,長期研修員としての責任の重大さをひしひしと感じながら,一人一人が決意を新たにしているところであります。
本日は,宮城県教育委員会および宮城県教育研修センターのご高配をいただき,多数のご来賓の皆様のご臨席を賜り,かくも盛大な入所式を挙行していただきましたこと,心より厚く,御礼申し上げます。皆様からいただきました心温まるお励ましの一言一言を,肝に銘じ,皆様のご期待に応えるべく,誠心誠意努力を傾ける所存でございます。
また,私たちの研究は,所属する教育事務所,市町村教育委員会,そして,所属校の深いご理解とご支援の上に,はじめて成り立つものです。感謝の気持ちをかたときも忘れることなく,伝統ある宮城県教育研修センターの研修員としての誇りと自覚を持って,日々研鑽に努める決意です。
21世紀を目前にして,児童生徒を取り巻く状況は,大きく変化しつつあります。次代を担う子どもたちに,自ら学ぶ意欲と社会の変化に主体的に立ち向かっていく力を,そして,輝く個性と豊かな人間性を,つまり,次代を担う子どもたちに「生きる力」を育むことが,ますます緊急の教育課題となってきています。私たち研修員は,そのために何をすべきなのか,何ができるのか,どう具体的な教育実践として展開していくのか-このことを研究の原点に据えて,これからの研究に本気で取り組む所存です。
「凡庸な教師はしゃべり,よい教師は説明し,優れた教師は示し,偉大な教師は心に灯を点ける」
これは著名な先達の言葉です。私たち研修員80名は,それぞれが,これからご指導いただく諸先生方の深い教育的愛情の炎をしっかり受け継ぎ,宮城県の学校教育の新たな地平を切り拓く気概を持って,日々は,真剣勝負,研修に励む決意です。
最後になりましたが,研究という分野では右も左も分からない私たちです。佐藤所長先生をはじめ諸先生方の厳しいご指導とご鞭撻をお願い申し上げまして,長期研修員の誓いの言葉といたします。
平成9年度長期研修員代表 佐藤 俊隆
1990.03.01 確かな土台を
卒業おめでとう。
この増田中学校に入学した頃の幼顔の君たちが,いつの間にかこんなに立派に成長したのですね。びっくりすると同時に,たいへんうれしく思います。中学校3年間での君たちのみごとな成長ぶりをまのあたりにして,人間の生命の持っている力強さ,内に秘めたエネルギーのものすごさに圧倒されどうしでした。「先生も,ガンバレよ」という無言の励ましを感じていました。
君たちとこの増田中学校で同時代を過ごし得たことに,心からお礼を言いたい気持ちです。本当にありがとう。
新しい人生を切ろうとしている君たちに,ありきたりですが「確かな土台を」ということばを贈りたいと思います。
建物には必ず基礎があります。植物にも根っこがあります。この地球上のおよそすべてのものには,必ず「土台」というものがあるのです。今日巣立っていく210名の一人一人にも,その人にしかないその人だけの土台があります。その土台を大事にして,確かなものに育て上げて欲しいと思います。
今日の君たちを支えているのは,家族や友だちとともに過ごした15年間の生活です。その生活の中でも,増田中学校での3年間は大きな位置を占めており,卒業する君たちの大切な共有財産といえます。ウォーキングマラソンや修学旅行,部活動,そして陸上,応援,駅伝,増中祭など,その一つ一つに共に分かち合える感激があり,思い出があるはずです。この共通の根っこが,今後の人生の中で大事な意味を持ってきます。
君たちがどこに行っても,何才になっても,何の遠慮もなくいつでも帰ってくることができる共通の土台を,いつまでも大事にしてください。増中時代の仲間をいつまでも大切にしてください。
もう一つは,これから築くべき土台についてです。大地に深く根をおろしたどっしりした土台を造り上げて欲しいということです。
夜明け前にうっすらと降り積もった雪が解け始める頃,雪道を歩くと気がつくことがあります。雪が積もったまま残っているのは,きまって橋の上だということです。何故でしょう。みなさんも不思議に思ったことはありませんか。
これは土台ということに関係があります。橋の場合は,上の下も冷たい風が吹き抜けています。道路の場合は大地にじかに接しています。tまり,大地の恩恵をしっかり受けているわけです。
土台というものは,あまり人に見せるものではありませんが,しっかり築くことが大切です。表面を磨くことよりなによりも,一番大事なことです。広く深い土台を持っている人は,人間としても温かみのある人ではないかと思います。
どんな困難にも熱を失わない確かな土台を築いてください。
卒業おめでとう。
1983.03.01 荒浜,新たな人生の起点
1982年3月も残り少ないとある日,私は荒浜をはじめて訪れた。浜風が冷たかった。阿武隈川の河口は,河水と海水が激しくせめぎあい,白く波立っていた。遠く低く響く波音が辺りを領し,家家の静けさを際立たせている。この日の荒浜は暗く沈み込んでいた。堤防から中学校へ向かう道すがら,自転車を駆る少年の一団とすれちがった。薄手の上着に風をいっぱいにはらみ,通り過ぎていった。木造の校舎を遠目に見ただけで,その日は家に帰った。
もし,その後生涯荒浜を訪れることがなかったとすれば,うそ寒い印象を抱き続けていたことだろう。しかし,4月からの生活がその印象をあとかたもなく消し去ってしまった。共に働く先生方のあたたかさと熱意,生徒たちの底抜けの明るさと素直さが,私にとって何にもかえがたい宝である。
その荒々しさを前にしてたじろぐほどだったあの日の海も,今はおだやかにたゆたっている。私は本格的に海と付き合ったことはない。ここしばらくは,それができそうだ。じっくりと腰をすえて海と語り合うことになりそうだ。
生命は海の中で誕生したという。人間は,心の中に海をかかえているのかもしれない。感情の動きをありのままに表現する乳児期は,海の表情を直接に伝える岸辺に相当するが,しかし浅い。人間は,浅瀬からしだいに沖合へ,しかも深海へと波にもまれながら漂っていくのかもしれない。深海は静かなだけではない,地殻が激しくぶつかり合い,熱塊がうずまいているところだ。そこまでは,漂うだけではたどりつけないだろう。強い意志と情熱が必要であるに違いない。
荒浜中学校は,私の新たな人生の起点である。みんなと肩を組んで,力いっぱい,ひたむきに生きていきたい。広大な海との本格的なつきあいが,これから始まる。